ベビーシッターこあら先生の保育ノート
1. 「最近、癇癪の相談が増えた」と感じる理由
東京でベビーシッターをしていると、
「子どもの癇癪がひどい」「癇癪が長い」「どう対応したらいい?」
という相談を受けることが以前より増えたなぁと実感します。
都会の環境や、子どもが自由に過ごしにくい状況も
その背景にあるのかもしれません。
癇癪について脳の構造の話を聞くことが増え、
「なぬ!私、勉強不足じゃないか!」と思い、改めて調べてみました。
2. 私が大切にしてきた“癇癪の捉え方”
ここからは、現場で18年以上子どもたちと関わってきた私の視点です。
・「嫌」を表現できるあなた、かっこいい
・あんなに全力で気持ちを出せるなんて、むしろ可愛い
・人間が全力で感情を出せるのは約30分(※その間は安全確保しながら見守る)
・私も本当は癇癪をして訴えたかった日があった
・癇癪してもビクともしない激強メンタル母のおかげで悟ってしまった過去もある
癇癪って悪いものじゃなくて、子どもの心のSOSや表現のひとつなんですよね。
3. 実際にあった「癇癪がひどい子」との関わり(支援現場より)
中学生の女の子が施設に入所していた時のこと。
職員からは「癇癪が強い子」と引き継ぎがありました。
意思疎通がうまくいかない時、
泣き叫んだり、物が飛んだり、壁に穴が空いたり…。
まさに“癇癪のピーク”を経験してきた子です。
怒りのピークの最中は、言葉が届きません。
だから私はあえて“見てないフリ”をしつつ、
視界の端で安全を確認したり、空気感で状況を判断したり(これは私の特技)。
落ち着いた頃にそっと寄り添います。
「まだお風呂入ってない? 行こうか☺️」
水に触れる(手を洗う・冷たい水を飲む)は、感情を落ち着けるのに効果的。
そしてお風呂で、私はその子にこう伝えました。
「嫌なことを嫌って言えるの、かっこいいよ。
私なんて嫌でも“はーい♡やりまーす☺️”ってやっちゃうから、
その姿見て“私も嫌って言おう”って思ったんだよね」
そこから「やりたくない選手権」を2人でして爆笑したのだけど(笑)
支援って、その一回の場面で完結するものじゃない。
たくさんの寄り添い・共感の積み重ねで、子どもの心は育っていきます。
4. 【癇癪の対処法】怒りのピークに“していいこと/してはいけないこと”
▼ピーク時にしていいこと
- 安全を確保しながら見守る
- できるだけ刺激を減らす
- 水に触れる、深呼吸につなげる
- そばにいることだけを伝える
▼ピーク時に避けたいこと
- 注意・叱責
- 無理に言語化させる
- 長い説明
- 怒っていることを否定する
癇癪を落ち着かせるには、
“落ち着いた後”の関わりのほうが100倍大事。
5. 東京は「癇癪しにくい環境」なのかもしれない
狭い道、車との距離、電車、バス、タクシー、
駅のホーム、マンション、ベビーカー、自転車…。
「子どもが全力で感情を出せる場所」が本当に少ない。
子育てが全部、新宿御苑だったらいいのにな。
大声を出しても平気、
走っても転んでもふかふかの芝生、
水こぼしたって笑っていられる場所。
都会で子どもを育てるって、
大人も子どもも常に気を張っている状態なんですよね。
6. 【まとめ】癇癪は“悪いもの”じゃなくて、心のエネルギー
癇癪って、大人からすると「困った行動」に見えるけれど、
子どもからしたら “いまの自分を全部出して生きてる” だけ。
そのエネルギーに寄り添って、
一緒に笑ったり、ちょっと真似してみたり、
「嫌なものは嫌って言っていいんだよ」って伝える時間が、
私はやっぱり好き。
支援って魔法じゃなくて、
“小さな寄り添いの積み重ね”。
都会で癇癪しづらい時代だからこそ、
せめて大人の心だけは新宿御苑みたいに広くいたい。
大声を出してもいい。
水こぼしてもいい。
走り出したっていい。
あなたの心の中に、そんな “広い場所” を作ってあげたい。
ーーそう思いながら、今日も子どもたちと向き合っています☺️🫶

